ことり銀河

天文と子育てを楽しむブログ

『天冥の標』でSF分を大量摂取

何となくSFが読みたいな…
ワクワクして心が揺さぶられてコロナ禍の鬱屈した気持ちが晴れるような冒険的で恋愛的でミステリーで果てしない物語が…
と思っていたところに、小川一水さんの『天冥の標』(てんめいのしるべ)というSF小説の電子版が期間限定で無料だったため、軽い気持ちで読んでみました。
(注)私が読んだタイミングの無料期間は終わっています。
10巻構成で全17冊、昨年完結したばかりの長編です。
無料は2巻までしたが、ものすごく続きが気になって、現在7巻まで読み終わりました。
面白いです!


え、そこで終わり?と思わされた1巻。
1巻はメニー・メニー・シープという惑星で起きる感染症と革命の話だったのに、現代日本で始まる2巻。
2巻は感染率も致死率も異常なほど高い感染症パンデミックが起きる、今の世の中を彷彿とさせる話。
その中に1巻で散りばめられたキーワードがちらっと登場します。
なるべくネタバレなしで読みたい方のために、ここでいったん1冊目のリンクを貼ります。

 

天冥の標Ⅰ メニー・メニー・シープ(上)
 

 

以降、ネタバレを含みます。 


3巻は太陽系の小惑星帯に住処を広げた人類が、木星の大赤斑に浮かぶ謎の遺跡を巡って宇宙船どうしで闘い、
4巻は精巧で自我を持ち、人間に性的奉仕をするアンドロイドたちの星の話(過激な性描写に注意)で、
5巻は小惑星パラスで農家を営む家族と、6000万年前のサンゴ虫で覚醒した謎の知性体が登場し、
6巻は感染症のせいで迫害され続けている一族の女の子が普通に暮らす男の子に出会い、その一族が異星人の力を借りて起こした侵略戦争と感染テロにより太陽系人類が滅亡の危機に立たされ、
7巻は感染を逃れて小惑星セレスの地下空間に閉じこもった少年少女達と5万人の子供達の人類存亡をかけた生き残りサバイバル…

 

一言ではとても説明しきれない情報量が各巻にあります。
そしてどの巻も別の物語?というくらい舞台が違うのに、他の巻とめちゃくちゃ繋がっています。
あの名前はもしかして…!
あの巻で出てきた話がここで…!
辻褄が合わないと思っていたのに…!とか。
伏線と回収のオンパレード。
天文キーワードが盛りだくさん。
多すぎるのにそれぞれ魅力的なキャラクター。
読み返したい!でも先を知りたい!の狭間にいます。
小説って本当にすごいな、と感じる作品です。(現在進行形)
濃厚なSFに圧倒されたいと思ったらぜひ読んでみてください。 

 

全巻セット欲しいなぁ…

《天冥の標》合本版

《天冥の標》合本版